理事長通信令和3年8月

理事長通信

8月、夏真っ盛りです。今年は梅雨の期間が薄く長く続き、気が付けば知らぬ間に梅雨明けしてしまっていたような感じです。かなり気が早いのですが、今年度の冬はどうなるのか気になっています。この夏の具合で冬の動向が予測されますので。

 私、只今、学生をしておりまして、週に一コマ(算数)、学生と一緒に講義を受けております。先日中間テストを受けて100点満点中70点でした。自分としては50点以上でしたので、学生であった時期から今までの月日のことを考慮するとまずまずであったかなと自己満足に浸っていたのですが、講義の最後で教授から「今回のテストのレベルは中学受験ぐらいやで」との説明がありました。思わず自己満足の顔を伏せました。42歳ですが、算数の学力は小学生そこそこということです。長男が小学4年生なので、ひょっとしたらこの長男とどっこいどっこいの算数力かもしれません。たまに長男が宿題でわからない箇所を聞いてくるのですが、いくつか難解なものが出てきて、しっかり考え込まないと理解できないものが増えてきました。この調子だと5年生の算数を教えることは困難であると自覚しております。また、私が小学生の時代に学んできた内容とかなり違っているようです。計算をして答えを求める事よりも、答えを導き出す過程がより重要視された内容になっています。訓練のように問題を解いて理解を蓄積していくようなスタイルから、自ら発想して考え方を組み立てるようなスタイルに変わっています。少し興味が出てきて、次男の算数も見たのですが、足し算や引き算も答えより式の組み立ての方に重点が置かれていました。例えば、(35+12=?)といった問題が従来の物であるとするなら、現在の問題は、(?+12=47)といった具合です。私の時代もこのような問題はあったと思いますが、このようなのは変則的であったように記憶しております。現在は変則的でなく、こちらの方に重点が置かれているわけです。これの式の作りはよく見ると(?)を(X)に置き換えたら簡単な方程式になります。また、算数の文章問題がかなり多くなっていて、これに関しては国語力がないと対応できない内容になっています。読み解き理解し、自分の力で発信できる「生き抜く力」を育むことが期待されています。

 OECD加盟国の中で日本の学力が年々低くなってきており、グローバル社会でも中国人やインド人の活躍が目立って来ました。島国というガラパゴスな日本が過去、勤勉で働き者だった頃の栄光を背負ったまま胡坐をかいてこの30年程を過ごした間に世界から取り残されているわけです。GDPも世界で3位と言われていますが、これも国民一人当たりで言うとイギリスの方が数字は高くなります。過去に栄華を迎えていたイギリスは、現在、先進国とはいい難い状況です。日本は人口が多いことに支えられていますが、個別生産力はそう高くないわけです。人口減少が進むとみるみるGDPの数値も落ちていくことが予想されます。日本は貧しい国になりつつあることを自覚しないといけません。

 「ゆとり教育」「指示待ち」など、思考することが苦手となった日本ですが、この状況を何とかしようと教育内容を世界水準に合わせたものに変えています。しかし、皮肉なことに、過去、世界からお手本となっていた時期もあった日本ですが。無理矢理推し進めるイケイケドンドンの経済力の拡大はバブルの様な問題を引き起こしますが、現在の様な規制と規則で固めすぎられた社会も本来発揮できるはずの力を封印してしまいます。引き締めと開放のハンドルさばきが経済対策には必要です。

日本の将来はどうなるのかなぁ~と、学校の講義と息子の算数で少し考えさせられてしまった今日この頃でした。