理事長通信令和3年6月

理事長通信

 今年の梅雨入りは例年より異例の速さで、じゃがいも、玉ねぎの収穫の時期とかさなってしまい、面倒なことになったと思っている次第であります。「理事長の部屋」が皆さんの手元に届く頃に無事、収穫を終えていることを願っています。土壌が乾いていると掘り出すとき、「サラッ」としていてじゃがいもも綺麗な状態で軽やかに収穫でき、気分も爽快ですが、雨でどろどろの状態で掘ると、じゃがいもが泥まみれで、しかも掘る作業も非常に重く、気分も泥まみれのじゃがいものように非常に重たくなります。ジャージもどろどろで、長靴も重くなり、泥に足を取られて動きも制限されます。天気の良い日と比べて3倍は体力を失います。農作業は天候に左右されるものなので仕方ないのですが。かといって梅雨がないと、5月中に植えたサツマイモや夏野菜の苗たちが上手く根付きません。こいつらはこの梅雨の間にたっぷりと水を吸い、夏の過酷な暑さに耐えられるようにたくましく育ちます。梅雨が早いのは好都合ともいるかもしれません。などどと、しょーもないことを考えながら緊急事態宣言を過ごしております。

 前に接ぎ木をしたことをお伝えしましたが、その後、いくつかは枯れてしまいました。しかし現状、芽が出ているやつが5本ほどあり、芽吹かずにひっそりと枯れずに頃を見計らっているやつもたくさんいます。しかし、生き物の生命力と言うのはすごいもんだと感心しました。よそから持ってきた枝を引っ付けてそこから育つなど、なかなかのファンタジーです。今回少しコツをつかんだので、来年は柑橘以外の種類も試してみたいと企んでいます。例えばビワの木は種から植えて実るまで9年以上かかりますが、現在実っているビワの枝を、9年以内の若いビワに接ぎ木したらすぐに結実します。成熟していない木を土台にして時短で実のらせる時に使う技でもあります。

 皆さん、春の山菜の「タラの芽」をご存知だと思いますが、これも不思議な植物で、山に自生しているものなのですが、商品として安定した収穫量を確保する場合は栽培します。その栽培の仕方が不思議なのです。枝を切り落としたものを何本も低温の貯蔵庫の様な場所に置き越冬させます。そして適度に湿度を保ち、春を迎えるころに、その枝から新芽が出てきます。根を張っていない「枝」のみで芽が出てきます。すごい生命力です。ちょっと異様な光景でもあります。聞くところによると、タラの木は山深い場所には自生しないみたいです。「木のない山」に生えてくるようです。森林を伐採してしばらくしてからまず最初に生えてくるのがタラの木らしく、タラの芽を探して木々が茂る森林に突入しても出会うことは出来ません。そう言えば、山道をドライブしている際に道沿いの山の土手にタラの木が生えているのを目にします。山の持ち主がタラの芽を植えているものとばかり思っていましたが、あれは、道沿いの山肌をきれいにするために邪魔な木々を伐採した後だと言うことがわかりました。勝手に生えてきたタラの芽ですね。

 今月は梅雨の文句と、接ぎ木の中間発表に、タラの芽の生態についてでした。ちょっと調べたり尋ねてみたりすると奥深くて楽しいのが自然ですね♪